沖縄スパイ戦史

コメント

大林宣彦映画作家

 瞠目しました! 僕ら日本人は、あの日本の戦争に就いて、未だ未だ何も知らない、知らされていない。知らぬ事は罪。これは日本人、否世界の人間共にとって、必見の一作!!
 立派な作業に、頭を垂れます。目醒めよ!

安田菜津紀フォトジャーナリスト

あの戦争は、地続きだった。沖縄と、本土と。過去と、今と。それを断絶しているのは意図的に作られた壁か、それとも無関心という溝なのか。
背を向ければ、再び地獄は忍び寄る。生き抜いた人々の声は、私たちへの警鐘そのものだった。

森 達也映画監督/作家

記録と記憶は閉じた存在。でも本作における記録と記憶はまだ激しく動いている。呻いている。訴えている。沖縄の強い日差しに照らされながら、過去と地続きの現在を僕たちに意識させる。 これは決して昔話ではない。

今日マチ子漫画家

証言を中心に、かつての少年たちが甦る。幼さゆえに信じ、翻弄され、死に、深い傷を負った彼ら。私たちができることは? 伸びやかに生きる姿をもう一度、想像してみる。

武田砂鉄ライター

為政者は、いつの時代も、人のせいにする。
オレ、関係ないよ、と逃げ回り、遥か上空で嘲笑する。
本作に映し出されるそれは、今、私たちの眼前に広がる逃避や嘲笑と、どう異なるのだろう。

ジャン・ユンカーマン映画監督/『沖縄 うりずんの雨』

この「裏の戦争」の真相こそが戦争の本当の顔です。沖縄戦の中、島々の奥で起きた、長年、闇に葬られていた真実は普遍的な意味を持っています。今の時代、特に向き合う必要があります。

金平茂紀ジャーナリスト

沖縄戦で軍隊は住民を守らなかった。それどころか沖縄の住民はスパイになると見做された。それで友軍のはずの日本軍は彼らを処刑した。一部の住民がそれに協力させられた。何という狂気の沙汰だ。だが、戦争は人間を狂わせる。少年ゲリラ部隊=護郷隊の実態や、住民をスパイ視し処刑したケース、日本軍によって移住を強制されマラリアで夥しい数の死者が出た悲劇。最強コンビ=三上と大矢は、粘り強くかつ丁寧な取材で、これらが過去完了の出来事なんかではなく、いまだ生々しい現在進行形の出来事であることを浮かび上がらせた。陸軍中野学校と自衛隊情報保全隊のどこが違うというのか。戦中に住民のなかでスパイ摘発に動いた「密告屋」たちと、オスプレイのファンを自称する「彼ら」のどこが違うというのか。刮目して見よ。沖縄戦での日本軍の振る舞いと、米軍基地の7割以上がある沖縄に対し日本政府がとっている振る舞いをつなぐ太い実線を。

※順不同、敬称略